ナファモスタット

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読み

なふぁもすたっと

意味

ナファモスタット(ナファモスタットメシル酸塩, 商品名:フサン®)は、抗凝固作用や抗炎症作用を持つ薬剤です。特に急性膵炎や血液透析時の抗凝固薬として使用されることが多いです。


主な作用

抗凝固作用 → トロンビンや血液凝固因子Xaを阻害し、血液の凝固を防ぐ
線溶(フィブリン分解)抑制作用 → 過剰な出血を防ぐ
補体・カリクレイン-キニン系の抑制 → 炎症や血管透過性の上昇を抑える


適応(使用される疾患)

🔹 急性膵炎(膵酵素の異常活性を抑える)
🔹 透析中の抗凝固薬(ヘパリンが使えない場合に使用)
🔹 播種性血管内凝固症候群(DIC)(血液凝固と線溶の異常を調整)
🔹 COVID-19関連治療(研究段階)(ウイルスの細胞侵入抑制が期待)


透析での使用

  • 透析中に血液が固まらないように抗凝固薬として使用される
  • ナファモスタットは半減期が短く、透析終了後すぐに抗凝固作用が切れるため、出血リスクの高い患者にも適している
  • **ヘパリン誘発性血小板減少症(HIT)**のリスクがある患者にも使用可能

主な特徴

項目ナファモスタットヘパリン
作用時間短い(数分~10分)長い(数時間)
抗凝固作用直接トロンビン・Xa因子を阻害アンチトロンビンを介して作用
解毒薬不要(短時間で代謝)プロタミン硫酸塩
透析での使用可能(出血リスクが高い患者向け)一般的に使用
HITのリスクなしあり

注意点と副作用

低血圧(カリクレイン-キニン系抑制の影響)
アレルギー反応
まれに出血リスク(作用時間が短いため比較的安全)


まとめ

ナファモスタットは、急性膵炎や透析時の抗凝固薬として使用される薬剤で、短時間で効果が切れるため出血リスクの高い患者にも適しているのが特徴です。透析中のヘパリン代替薬として特に有用です。

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